一般歯科
〜診療方針〜
まず、急を要する患者さんには、その苦痛を取り除くことに全力を尽くします。
その上でお口の困りごと「患者さんの訴え」をよく聞き、患者さんの希望や考えを把握し、お口の現状を詳しく調べます。写真撮影やレントゲン検査、歯周ポケット検査はそのために行います。
その上で個々の患者さんにあった治療計画を提案し、お互いが納得した上で治療を行うよう心掛けています。インフォームドコンセントが大変重要と考えています。
虫歯治療
歯科医は、きれいな天然の歯を削る瞬間が最も苦痛です。それは虫歯治療の70%は、治療を行った歯に行われていることを知っているからです。したがって再石灰化(虫歯の進行が停止する)が可能と思われる場合は、削らずに予防処置(進行を防止し再石灰化をうながす処置)を行います。しかし、削って修復する必要がある場合には、再治療にならない精度の高い治療「長持ちする治療」を心掛けています。
歯周病治療歯周病ナビ:https://shishubyo-navi.jp
歯周病ナビ:https://shishubyo-navi.jp歯周病は、生活習慣病の1つです。したがって糖尿病のように、自己管理(セルフケア)と定期的な専門家の評価や介入(プロフェッショナルケア)でコントロールしていかなければならない病気です。そのために、メンテナンスは欠かせません。
病気の原因は細菌です。当院では歯周病検査とレントゲン検査から現状を把握したあと、患者さん自身で取り除けない歯石(歯にくっつく石灰化物で細菌が住み着くのでそれ自身が病原性を有することになる)を徹底的に取り除くことを行います。
また、歯に異常な力が加わると歯周病の進行(周りの骨が溶ける)を加速させます。
それを防ぐためにバランスの良い咬み合わせにすることを行います。
さらに、セルフケアがしにくい歯ならびも歯周病になりやすくします。歯周病になりにくくするためにも矯正治療はお勧めしています。
また、子供の頃から虫歯にかかったことがなく歯科医院を受診したことのない方は、特に要注意(虫歯になりにくい方は歯周病にかかりやすい場合があるから)です。そんな方は、是非歯科検診をお受けください!
補綴治療
「補綴」は「ほてつ」と読みます。歯が欠けたり、 なくなった場合に外観が悪くなったり食事がしにくくなったりします。歯科治療における補綴とは,それをクラウン(いわゆる’ かぶせ’ )や入れ歯、インプラントなどの人工物で機能を回復することをいいます。当クリニックでは日本補綴歯科学会の補綴専門医の自覚と責任から、よりクオリティーの高い結果を目指しています。「笑顔で家族と食事をすることを楽しみにできる」そんな人生を、歩んで頂きたいと考えています。
口腔外科
普通抜歯、親知らずの抜歯、顎関節症、歯の移植などを当院ではおこなっています。
非常に困難な抜歯、重度の炎症、腫瘍等特殊な疾患、その他難治性の疾患で当院のレベルを超えると判断した場合には、 信頼のおける専門医に依頼し、連携して治療にあたっています。
顎関節症の治療にはスプリント療法など可逆的な手法を基本とし、重度の場合は専門医に依頼しています。
親知らずが引き起こす障害
- お口の衛生状態を悪くし、口臭の原因になる。
- 周囲の歯肉や顎の骨が炎症を起こす。
- 他の歯を押して歯並びを悪くし、咬み合わせの問題を引き起こす。
- 隣の健康な歯が虫歯になってしまうおそれがある。
親知らずのほとんどは、上記のような障害を引き起こすことが多いのは事実です。しかし、もともと6歳臼歯の2つ奥にある普通の大臼歯ですので、アゴが大きく上下がきちんと咬み合っていてブラッシングができれば、問題ありません。また、他の歯がなくなった場合の移植歯として利用できたり、義歯の支えとなる場合もありますので親知らず即悪者ともいえません。歯科医とよく相談して状況に応じた対応をしましょう。
歯の移植
歯根破折や虫歯で歯を抜かなければならなくなった場合、必要のない自身の歯(親知らずのことが多い)を抜けた位置に移植できる場合があります。(保険適応の場合もある)
ただし、抜くことになった歯の周囲に充分な骨がない場合や、移植する歯の大きさが合わない場合は移植できないので、適応は限られます。
移植術の成功率は、技術や症例により大きく異なりますが、80%といわれていますので、インプラント治療に比べて低い報告が多いようです。
当院では、2023年までに1年以上経過を追えた約30症例中、移植後抜歯になったのは2例。移植後数ヶ月で抜歯になったものが1例です。
もっとも長期に移植した歯が機能しているのは、1999年に移植した症例で、2023年の時点で24年間、問題なく経過しています。
歯の移植の症例
口腔内写真 | |
初診 (2018年2月26日) 「詰め物が外れC4の虫歯」 |
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移植直前 (2018年4月13日) |
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移植後 (2018年6月29日) |
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レントゲン写真 | |
初診 (2018年2月26日) 「詰め物が外れC4の虫歯」 |
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移植後5年経過 (2023年4月10日) |
患者概要 | 26歳 女性(2018年)。 左下奥歯の詰め物が脱離。重度の虫歯のため抜歯となった。 |
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治療内容 | 虫歯の歯を抜歯(2018年3月28日)。約2週間後に一つ奥の親知らずを移植する。治療期間は、抜歯から3ヶ月。5年後の経過は良好。 |
治療費 | すべて保険治療 |
治療効果 | 重度の虫歯になった歯は抜歯となったが、機能していない親知らずを移植することで、再度その位置で噛めるようになった。 |
リスク因子 | 歯根と骨がくっついてしまう可能性がある。最後方の奥歯のため力がかかりやすく歯根破折や再度の虫歯が心配。丁寧なセルフケアが欠かせないと思われる。 |
外傷(ケガ)
転倒などして、歯が破折したり抜けてしまったり(完全脱臼)、歯が位置移動してぐらついている場合は、できるだけ早く電話をしてから来院してください。優先して対応いたします。
特に、歯が抜けてしまった場合は、あまり触らず、牛乳につけてできるだけ早く持ってきてください。外傷後の時間が短いほど再植などの成功率はアップします。
前歯にボールがあたり抜け落ちた症例
口腔内写真 | ||
初診(2020年7月6日) 「1日前に前歯が抜けた」同日に再植 |
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再植5ヶ月後 (2022年1月18日) |
患者概要 | 13歳 少年(2020年)。 前日の日曜日に硬式球が歯にあたり、抜け落ちる。泥をとって母親が牛乳に浸け、翌日来院。 |
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治療内容 | 来院当日、麻酔後抜けた歯を戻し隣の歯と固定。2週間後に抜髄。約2ヶ月後固定を外す。 |
治療費 | 保険治療 |
治療効果 | 他の歯を傷つけずに、自分の抜け落ちた歯を戻すことができ、見た目が回復された。 |
リスク因子 | 歯の脱落後、再植まで24時間が経過しており、今後根っこが溶けたり骨とくっついたりして他の歯との見た目の長さが短くなる可能性がある。 |